私とイタリアのお話し<どうして絵付けを始めようと思ったのか>

どうしてマヨリカ焼きを始めよう思ったのか

先日、Aperitivoさんの別館で開催中のBottega Junkoフェアについて地元・南房総の房日新聞さんの取材を受けた際に「どうしてマヨリカ焼きを始めようと思ったんですか?」と質問をいただきました。

確かに、現在は日本でも目にする機会が多い本場のマヨリカ焼きですが、日本国内で絵付けをしている工房はあまり多くはありません。

元々、日本には陶芸の文化がありますし、わざわざ異国のマヨリカ焼きの絵付けをするのはなぜなのか?そんな、どうやって私がマヨリカ焼きにたどり着いたかというお話をしてみようかと思います。

イタリアとの縁

そもそも私は音楽畑の人間。でも、絵を描くのも、子供の頃から割と得意な方だったと思います。

先日、中華街の怪しい占い師さんに、何も言わずに一枚カードを引かされたところ「あんた、芸術の仕事しなさい、このカードを引く人はなかなかいないよ」と言われたので、怪しいと思いながらも、自分はそういう星の元に生まれたのだろうと思うことにしています。

音大では主にイタリアのオペラを学んで歌っていたので、そこで出会ったのがイタリア語。

卒業したら、就職する前に少しイタリアに行ってイタリア語を勉強しよう、そんな気持ちで、学生時代に、下見のために一人イタリアを旅行しました。実はその時は、帰国したらいずれは音楽の先生になろうと思っていたのです。

初めてのイタリア、「私はこの国と縁があるかもしれない」という直感。最終日にヴェネツィアを離れる時に「きっとここに帰ってくる」という確信がありました。

思い出深い初めての陶器との出会い

実は、マヨリカ焼きとの出会いはその時にすでに訪れています。

ラヴェンナのお土産屋さんで出会ったファエンツァの陶器。

ファエンツァは、ボローニャからアドリア海側へ車で一時間ほどの陶器の一大産地。

「ファエンツァの陶器には、日本の焼き物にインスピレーションを受けたデザインがあるんだよ」という話を聞いて、とても驚き、お土産に陶製の時計を買いました。

写真は、その時に買い求めたものではありませんが、典型的なファエンツァの焼き物。私たちの結婚式に、ファエンツァの近くに住む親類からいただいたものです。確かに、日本の柄にとても似ています。

数年後、このラヴェンナの街から数キロ程のボローニャ出身の主人と出会うことになるなんて…人生は不思議。

音楽と私

卒業後、改めて準備をしてイタリアのヴェローナへ一年程の留学。

留学の最後の記念に、と他の留学生仲間を誘って自主企画コンサートも開きました。たった一年のイタリア滞在で、そんなに言葉も堪能でなかったと思いますが、若さゆえのパワーで乗り切ったんだなぁ、とあの時の自分を褒めたい!

その後、一旦帰国して「もう少しイタリアで学びたい」と準備をしていた頃に出会ったのが、日本に住みたいイタリア人代表の今の主人。

私も、職歴もお金も何もないままイタリアで暮らしていくのは難しい事を悟っていたので、そのまま日本にあるイタリア企業の日本支社で仕事を始め、経験を積むことにしたのでした。

仕事自体はとても充実していて、その時の輸入業務やマーケティングの経験が今の工房の運営にもとても役にたっています。だから、人生で無駄になる事なんて何もない!というのも私のモットー。でも実は、帰国後に芸術関連の仕事を選ばなかったことが、どこかでずーっと心に引っかかっていたのも本音です。

やりたかったことは全部やってみよう

帰国後も、イタリアには年に数回訪れていました。

マヨリカ焼きとの出会い第二弾は、そんな時に南イタリアのアマルフィで。

この一面の鮮やかなタイルを見た時です。

「いつかこんな素敵なものを自分でも作れるかな?」という思いが沸きました。

それでも帰国すれば毎日仕事に追われる日々。そんな中、結婚、出産。

人生の転機が何度も訪れた時に「死ぬまでに、やりたかったことは全部やってみよう!」と思い立ち、思い切って忙しい時間の合間を縫って、スペインの陶器の絵付けを学べる教室に通うことにします。

スペインもイタリアも、元はイスラムから来た同じ絵付けの技法、多少の違いがあるものの、基本のテクニックはほぼ同じ。そこで、絵付けの基礎をじっくり教えてもらいました。

今まで忘れていたアーティスティックな感覚を思い出し<音楽と陶器の絵付け>とジャンルは違えど、表現するという喜びを感じました。

自分はやっぱり表現する人間なんだな、と実感。

海を感じる陶器工房

陶芸窯を準備し、念願の工房をOPEN。

材料も、なるべく本場から取り寄せ、イタリアに行く際には、実際に本場の工房で絵付けの勉強をさせてもらったりもしています。

現在はマヨリカ焼きと並行して、教室で学んだスペインタイル(クエルダセカ)の技法でも制作をしています。

自分の中ではイタリアは常に学ぶべき場所、技術やインスピレーションを吸収しながらも、その恩恵を受けて更に自分らしいものを作りたい。いつもそういう思いでモノづくりをしています。

例えば、定番の魚やレモン柄をとっても、イタリアの素晴らしいデザインをコピーするだけの絵付けではなく、自分にしか描けない色合いや、モダンな雰囲気を加えたい、そんな思いで絵付けします。まだまだ修行中ですが、そんな気持ちをデザインから感じていただけると嬉しいと思っています。

一貫して工房のテーマとしているのは、愛する地元の南房総、そして主人を育んだイタリアの海。

南房総の海で出会った魚や地元のクジラ、夕日、南房総の花、最近地元で栽培が盛んなレモンなど…

実は、南房総と南イタリアはよく似ているんですよ。

これからも、よりより作品を作っていきたい、そんな気持ちで今年の夏も頑張ります!

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